2017/09/30

朝の一茶

皆さんの朝食にも、毎日必ず登場する定番があると思います。

パン派の人、納豆ご飯でなきゃという人、コーヒーなのか紅茶なのか、最近はスムーシーという人もいるでしょうね。

私は基本、丼いっぱいぐらいの大量の濃いミルクティーを飲みます。そうでないと一日が始まらないタイプですが、今年の夏頃からでしょうか、暑さに負けてミルクティーもヘビーになり、この頃は緑茶を淹れる毎日が続いています。好みはガツンとした茎茶です。

ある朝も、もはや黄土色といえるぐらい濃く淹れた茎茶で、さて一服、というとき。座った場所は、ソファーの片隅で、息子が毎朝読書をする指定席でした。肘掛には案の定、絵本やら児童書やらが無造作に山積みになっています。これをどう片付けようかとやれやれしていると、最近購入した一冊が目にとまりました。

『蛙となれよ冷やし瓜』(岩波書店)という、新刊ではありませんが、最近の絵本です。面白いのは、小林一茶の俳句を絵本にしたところもしかりですが、なによりもアメリカで出版された『Cool Melons-Turn to Frogs!』という絵本を翻訳したもので、一茶の逆輸入だというところです。作者はマシュー・ゴラブさんという絵本作家の方のようです(以前は日本で広告関係のお仕事をされていた?ようですが)。絵のほうは、カズコ・G・ストーンさんで、『やなぎむらのおはなし』シリーズは絵本好きには有名です。小さな虫たちの小さな世界に目を向けたとても楽しいユニークなシリーズですが、この方以上に一茶の世界を描ける作家がいるかしら、と思うくらい適役だと思いました。

まあ、そういう絵本なのですが、最近息子が俳句に興味を持ったので、シメタ、と思って俳句関係の本を何冊か揃えておいたうちの一冊です。でも、どうやら、まだ読んでいな様子。それでは、茎茶片手に朝の一茶でも、と私が手に取ってみました。

結果、号泣。

早朝から号泣なんてあまり聞かないですよね。でももっと驚いたのは、俳句でこんなに泣ける、というところです。俳句というのは、しみじみ良い、感動がじんわり、ほっこりした気持ちに、というような感情が生まれる表現方法だと思っていましたが、号泣です。映画館で感動作を観たときのような。俳句で、です。

これは、この絵本の作りが素晴らしく一茶の心に寄り添うように作られているからだと思いました。

俳人の生涯を追いながら、節目節目で俳句を紹介していき、そこには原作にあるオリジナル英訳と、その英訳をさらに和訳したもの、とが並んでいて、一句一句をさまざまな角度から、読むこと(俳句の場合、見ること、感じること、という方がふさわしいと思いますが)ができて、一茶の世界観が開花するような感覚を覚えます。どれだけちいさき、はかなき命に目を向けていたか。命とは呼べないようなものにも命を宿す、内向的な慈しみ深さに、ただ、ただ、涙が出てきました。

極みは、題名にもあるのこの句です。

「人来たら蛙となれよ冷し瓜」(英訳の和訳は「やい、冷し瓜やい もしだれか来たら 蛙に化けろよ」とあります。)

瓜が冷やしてある。そのうち誰かに食われてしまうんだな。かわいそうに。人が来たら蛙になって逃げるんだぞ。という内容ですが、今でいうと、きゅうりを見て食べられちゃうからかわいそうと思うということです。ふつう、かわいそう、なんて思いませんよね??一茶が数々の困難や悲しみを乗り越えたのちに生まれた、一句です。

ちなみに、アメリカではハイクはスシと同じぐらい親しみのある言葉だそうで、小学校では音韻をふんだ詩、ハイクを作る国語(英語ですが)の時間があるそうで、文化の輸出入って面白いですね。

小林一茶ってどんな人だっけと思っても、忙しくてなかなか本を読めない方に是非。絵本ですが、入門書として手にとっていただきたいものです。

(Anne)

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