2017/08/31

この夏、ふと思い出した物語

この夏は、恒例のごとく山荘で過ごしましたが、なにせ雨続きでろくにアウトドアを楽しめなかったのが残念でした。でも、辛うじて日が差した日が1日だけあったので、その時ばかりは、喜び勇んで山登りに出かけました。

信州浅間山の隣にある、黒斑山という2404mに従姉、知人家族と共にチャレンジ。

日が差したとはいえ、山の方は足元が見えないほどではないにしろ、雲に覆われて景色を楽しむほどでもありませんでした。それでも山登りそのものは楽しいのでガシガシ登って、高山植物の鑑賞を堪能しながら山頂を目指しました。

途中の絶景スポット。てっぺんに立てば、快晴なら絶景が望めるはずなのですが、なにせこの天気。一面真っ白でした。でも、どうやら目下は断崖絶壁のよう。高所恐怖症の私は上まで行かず、先に進みました。

黒斑山の頂上に着きました。あたり雲に包まれて真っ白。何も見えなくて残念だね、と話していると、まさに天の恵みが!一瞬だけ、サッと雲が動いて視界が開けると、そこは、もう、本当に日本にこんな所があるものかと思うくらい美しい景色が広がりました。子供達は、これを、「絵本みたいー!」と表現していました。確かに、絵本にでてきそうな。

こちらは台湾のほうから2000キロも渡ってやってくるアサギマダラです。こんなにヒラヒラと儚そうに舞う蝶々が、これだけの距離を渡りきれるなんて、信じられないですね。渡り蝶オオカバマダラの壮大な冒険を描いた『旅する蝶』(新宮晋・著/文化出版局)という絵本を思い出しました。色のコントラストがはっきりしていて美しく、遠目にも映えるのでお話会や小学校の読み聞かせにもぴったりです。

さて、もうひとつ、この夏思い出した絵本です。

その前に、8月12日にアメリカ、ヴァージニア州で起きたニュースはご存知ですよね?反白人至上主義のデモに車が突っ込んで、被害者が出たというニュースに対して、政治家の対応がまた問題になって、論争が続いていますが。そもそも事の発端は、リー将軍の銅像撤去でしたよね。リー将軍は、南北戦争中に奴隷制の存続を支持した南軍のリーダーです。こんなものは取っ払いましょう、という市の計画に、人種差別主義者は反対し集まったため、それに対して抗議したデモでの事件でした。このニュースを追いながら、私はふと、『ヘンリー・ブラウンの誕生日』(エレン・レヴァイン作/カディール・ネルソン絵/鈴木出版)という絵本を思い出したわけなんです。

少し前のある日のことですが、図書館に出向くと絵本の棚に司書さんセレクトのこの絵本が立てかけてありました。遠目にもひときわ目を引く、大きな目の可愛い男の子の表紙に、私は即、飛びつきました。

『ヘンリーブラウンの誕生日』と和訳された題ですが、原題は『Henry’s Freedom Box』です。アフリカの愛らしい民族物語かと思えば、アメリカの奴隷の話でした。少年ヘンリーがいかにして人としての自由を得るかという話です。小さな少年は大人になり、数々の屈辱を経て、もはや人生の希望の灯火が消えかかったとき、道が開かれます。彼が考案した自由へのルート。それは、それは、壮絶。少しでも想像の余地があれば、その道のりがどんなに過酷だったかと感じると思いますが、それ以上に、奴隷の立場という、人権が尊重されない南部での暮らしは耐え難いものだったということが伝わって、ぞっとします。こういうテーマのものは、重々しく語られたり、偽善的だったり、説教くさいものもありまよね。でも、この作品のようにチーミングで軽いタッチの描きかただと、無駄に涙を誘わないので、より過去の事実に近づきやすくて、説得力があると私は思うんです。

8月12日のニュースで、むき出しの差別に不安が募る中、『ヘンリー・ブラウンの誕生日』を思い出して、過去からもっと学びたい気持ちになりました。

ちなみにこの作品、高学年の読み聞かせにぴったりだと思いますが、オールエイジにもオススメです。

(Anne)

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