2017/04/23

つかのまの、春の楽しみ

親戚の家でお花見会をしたときのことです。

クリスマスローズは、冬を名残惜しむかのように壁に飾ってありました。

お花見と勇んだものの、残念ながら、お庭の桜はまだ開花しておらず、食べる方の桜で満足しました。

結果としての、花より団子。桜餅に道明寺にヨモギの草餅。道明寺というのは、桜餅の関西風の呼び名だそうですが、作り方は随分違いますよね。三人ぐらいの持ち寄りでこうなりましたが、こうしてみると、和菓子屋さんによって、大きさ形さまざまですね。でも、頬張る前に、皆そろって和菓子の中の桜の美しさを、ちゃんと愛でましたよ。

メニューの方も春一色。蕗、蕗の薹、あさり、そら豆、分葱、うど、若布、アスパラガス、筍などの和え物や揚げ物が並びました。今の時代、年間を通して、夏野菜や冬野菜がスーパーに並ぶので、季節をあまり意識しなくても食べ損ねることはないですね。でも、春だけは別。春の旬野菜は、野菜コーナーに並んだかと思ったら、瞬く間に姿がなくなり、時期を逃してしまうことが多くないですか?傷みやすいからでしょうか。蕗や筍は下ごしらえが面倒だからとまごついてると、食べ損なってしまいますし、せめてうどぐらい、と思っても、ウチでは私しか食べないしなぁと、悩んでいる間に逃してしまったり。それに、香りや苦みやクセを楽しむこのころの野菜は、家のなかでも好き嫌いが分かれやすいものだと思います。なのでこうした集まりがあると、作りがいを感じて従姉妹が腕をふるうのでした。

さて、桜の方は翌週、いきなりバッと咲いて、咲いたと思ったら、数日後から雨続き。あっと言う間に路面が花びらだらけになってしまいました。

春の楽しみは本当につかのま。悲しいような気もしますが、一方で、想像してみてください。ソメイヨシノ並木が、一瞬ではなく、常に満開だったら。ありがたみがないどころか、少し鬱陶しいかもしれませんよ。あっという間に散って、葉桜で満開時の余韻を楽しみ、あれよと言う間に青々としてくれ、毛虫でいっぱいになる。秋には赤や黄色に染まるソメイヨシノの、万華鏡のような変化だからこそ季節の楽しみをもらっている気がします。

「さまざまの事おもひ出す桜かな」松尾芭蕉。

色々な事を思い出させてくれる古里の桜を詠ったものです。

この新書に載っています。講談社の『芭蕉さん』(俳句:松尾芭蕉、絵:丸山誠司、解説:長谷川櫂)という絵本です。子供も大人も、無知熟知を問わず、元気いっぱいの絵と親しみやすい解説に、俳句再発見の面白さがあります。

あわせて春の絵本3冊です。

左から。『根っこのこどもたち目をさます』(童話館出版)。訳が石井桃子女史なので、流れるような読みやすい日本語です。絵は、ジビレ・フォン・オルファース。ミュシャの絵を思い出すような構図で、繊細なタッチが美しい。はるの訪れを、妖精に演出させてるシンプルなファンタジーです。読んで聞かせるなら年中さんぐらいからでしょうか。

次に『マウス一家のふしぎなさんぽ』(童話館出版)。女の子がきっと好きになるだろうという一冊です。おかあさんねずみとの約束で、こどもたちは森にベリーやお花や葉っぱを集めにいく様子が可愛らしい。簡単な図鑑のようなページもありながら、読み終えたころにはすっかりおままごとがしたくなるような想像力お掻き立てられるお話です。

最後に『せかいいちうつくしいぼくの村』(ポプラ社)。一面の桜の木で始まります。アフガニスタンにある、のどかな田舎の村のお話で、私のイチオシです。アフガニスタンは、もともと豊かな森や草原があり、春になればたくさんの花が咲き乱れ、初夏にはさくらんぼやすももが実る、豊かさ溢れる国だったそうです。少年の一日を淡々と追う物語ですが、その、素朴でで平和で、自然が豊かな暮らし振りが存分に描かれています。市場での一日を過ごした少年は村に戻り、新しく家族になった子羊に「春」と名付けます。翌年の春を待ちわびながら。しかし、ネタバレですみません。春はもうやってこないのです。これは小学生から大人向けです。

というわけで4月の更新が遅くなってしまいましたね。次回、がんばります!

(Anne)

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