2016/01/19

春夏秋冬

プロフィールを書き込む時に、よく「好きな言葉」を入れる項目がありませんか?そういうとき、私はいつもこれという言葉が見つからずに戸惑います。そういう時にサッと記入できる言葉を準備していないから、なのでしょう。そんな中、先日、ウチの子に「ママ、好きな諺はなぁに?」と聞かれたので、考える良いきっかけとなりました。ウチの子は最近諺を少し教わったばかり。「猿も木から落ちる」、「かっぱの川流れ」、一番のお気に入りはもちろん「頭隠して尻隠さず」。男の子はこういう言葉に本当によく反応します。意味の方はどこまで理解しているか怪しいのですが、本人は諺にふれて「面白い」と思ったようで、まずはその気持ちを大切にしてあげようと思い、私も真剣に相手をしてみることにしました。

「そうねえ、ママは、『二兎を追うものは一兎をも得ず』かな」。結構好きですね。「一石二鳥」もお得で魅力的ではありますが、やっぱり私はクソのつく真面目人間。一途な態度に美徳を感じます。とはいえ忍耐、ド根性精神にはどちらかというと退いてしまうところがあって、「石の上に三年」や「転がる石に苔は生えぬ」は好きな諺として選ばないでしょう。ただ、この「転がる石に苔は生えぬ」、日本とフランスでは捉え方が真逆なところが面白いと思ってます。日本では(イギリスでも)じっとしていないと素敵な苔も生えない、良いことないよ、と解釈しますよね。フランスでは、アメリカもそうらしいのですが、いろいろ動き回っていないと、醜い苔がついちゃうよ、という風。苔そのものの捉え方が大きく違いますね。この場合、フランス風の解釈の方が私には親しみやすく、そうであれば好きな諺です。つまり、一途は好き。でも「忍耐」の方は素晴らしいけど体質的に合わない、という感じ。

そんな話をしながら、でも目下「笑う門には福来る」を念頭に暮らしたいという思いに至って、うんちくにすぎませんが、息子との諺談義を終わらせました。

その後、では四字熟語だったらどうだろうと考えていたら、やっぱりありました。好きな四字熟語。「一期一会」はロマンティックで素敵だという人がいて、その解釈は面白いなと思いましたが、私は「温故知新」です。昔はどうだったかなと調べれば、新しいことがわかるという教えは、私にとってメンタル・アンチエイジングです。

さて。タラタラ前書きが長くなるのが私のクセなのですが、そもそも私は、今日、絵本の話がしたかったんです。

先日、定期購読先から送られてきた『かえでがおか農場のなかまたち』(童話館出版)の話です。2400円もする大きな絵本で、開くと絵本というより図鑑に近いような絵の配置。かえでがおか農場にいる様々な生き物が描かれていて、その生態を、通常の図鑑のような学問的な記述ではなく、日常的な表現で追っていくという作り。猫が何匹も出てきて、例えば「タマゴザケ」という名の子の絵の下には「ひとなつっこい」、「外をみています」と解説がつく。ニワトリも何匹もでてきて、例えば、「サクラ」という名の子には「たまごをうみました」。「ちいさいかわいい赤毛チャン」という子には「たまごをあたためています」。犬も馬も牛も羊もヤギも、農場ならではの動物たち1匹1匹がそういう風に、生態というか、キャラを紹介されています。最後の方には農場の向こう側にいる動物たちや、かつて居た動物たちも登場して、スケールがひろがり、そしてこれからやってくるであろう動物たちの予想図で締めくくられているのです。実は私は最初、この本の、素晴らしいイラスト以外、なにが良いのだろうと不思議に思っていました。しかし息子は即、熱狂的なファンに。なので、この大きくて長い絵本を朝夕読まされるはめになりました。三度目の読み聞かせのことです。思いがけず、最後の下りに、涙が出そうになり声が震えました。『ちいさいおうち』(福音館書店)を読む時と同じ感じ。長々と動物たちを紹介した後の、最後の文です。「。。。どうぶつたちが、よろこびと、わらいと、いのちをはこんできてくれます。あなぼこだらけのみちの、ゆきどまりにたっている、ペンキのはげかかった、わたしたちの、かえでがおか農場に。」というくだりです。生き物それぞれ、個性があって愛おしい。長い年月が流れ、四季がくりかえされ、大小様々な命が生まれたり消えたりする。生かされていることの、ささやかな美しさ、ささやかな喜びが、こんな慎ましやかな形で描かれていることに感動しました。そのとき初めて、「春夏秋冬」という四字熟語が頭に浮かび、私は長年この言葉の本当の意味をしらないでいたんだな、と思い知りました。なんて尊い言葉。今度どこかで好きな言葉は、と聞かれたら、確実に「春夏秋冬」と書くでしょう。昔はたかが「四季」のことでしょ。「一年」でしょ。それが一体どうしたの?とあんなに思っていたのに。(Anne)

かえでがおか農場1

これです!『かえでがおか農場のなかまたち』(童話館出版/作・絵:アリスとマーティン・プロベンセン/訳:乾侑美子)

かえでがおか農場2

猫たちの生態、というか、キャラが描かれています。

かえでがおか農場3

こちらは農場の鶏たち。よその卵を一生懸命あたためる老婆鶏が健気。人間にたとえれば、乳母かな。

かえでがおか農場4

これが最後のページ。慎ましやかな感動で、じわっときます。

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