2015/09/05

しあわせなファッション

ランニングやウォーキング中、ヘアサロン、極たまに行くネイルサロンやエステサロンでメンテ中に、ふと、こんなことに時間を費やして良いのだろうかと、ものすごい焦燥感に駆られることがる。とはいえ仕事の一環、やらなきゃいけないことだから大丈夫と、すぐに気を取り直す。それでも、わたしの心の隅に、世界には、毎日洋服を取り替えることも、今日のご飯を得ることもできない、もっというと明日命も保証されていないような状況にある人たちがたくさんいるのに、ファッションに携わる仕事なんて軽薄すぎないかと、後ろめたさを感じる部分があって、ときどきその部分がメガホンを持って私に呼びかけるからだ。これは、私がこの仕事についたときからずっとつきまとっていた「声」で、100パーセント自分の仕事を誇りに思えていなかった理由なんだと思う。ところが、先日、ああ、わたし、これでいいんだ、と思った新聞記事に出会った。キャリア20年弱にして、ようやく。

それは、私の愛読している「小学生新聞」(笑!!)に載っていた、世界的デザイナー、森英恵女史のインタビュー記事。

三部構成の第1章は、島根県で過ごされた幼少期から始まり、戦争中の青春時代を経てファッションの世界へ飛び込むまでの経緯が語られている。

冒頭に、こうある。

「山に囲まれ、清流日本一にもなった高津川の支流のそばで育ちました。夏は青葉、秋の紅葉、冬には枯れてゆく樹木--季節ごとに色を変える美しい山々。兄たちと川でウナギをとったり、鮎が届けられたりしてね。冬は雪でとても厳しい。でも、春になると色とりどりの花が咲き乱れ、モンシロチョウが飛び始めるの。チョウは私にとって春のシンボルなんです」。

http://mainichi.jp/feature/maisho/news/20150704kei00s00s010000c.html

あの、デザイナーとしての素晴らしい表現力は、まさに豊かな自然の中で育った経験に根差しているんだと知った。

そして、沢山のものが失われた戦時中を経たのち、自由が戻ってくると、「生活の中での喜びであるファションの世界へとつきすすみました」と締めくくられている。

そうか、ファッションが許されるのは平和があるからこそ。そのファッションは生活に喜びを与えてくれるもの。ファッションに意識が向く、この生活こそを誇りに思うべきだと痛感して、そして、私は、自分に与えられた仕事を大切にしようと思ったのだ。

ちなみに、この、新聞記事は『しあわせなふくろう』という絵本の内容を思い起こした。2羽のふくろうが静かにからだを寄せ合って幸せそうにしているのを見た他の鳥たちは、なぜだろうと不思議に思う。自分たちが毎日餌や陣地を取り合って年中騒々しく争いをしているのに。その訳をふくろうに尋ねると、まさに冒頭の森英恵女史の言葉のようなものが返ってくる。そして、自然の移り変わりを静かに眺めることができるのが、幸せなんだと言う。残念なことに、ほかの鳥たちは、くだらない、と言って背を向けてしまうのだが、私はやっぱりふくろうのように思う。自然もさることながら、ファッションなど、美しいもを心穏やかに見つめ、「キレイ」「カワイイ」と語らえる喜びは、平和があってこそ感じることができるのだと。(Anne)

しあわせなふくろう

 

『しあわせなふくろう』/福音館書店

ぶん:ホイテーマ、え:チェレスチーノ・ピヤッチ、

やく:おおおか ゆうぞう

しあわせなふくろう2

 

夏の光や雨をあびて、あおあおと茂る森の木陰で休むふくろう達。

2羽は、こうしていると幸せだと語る。

 

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