2015/08/01

サーカス

最近のサーカスといえば、シルクドソレイユのような、圧巻のスペクタクルと曲芸技術を披露するダイナミックなものが目立って、ジンガロのような、むしろ舞台芸術に近いものになってきてきる気がする。実際私も、1年前くらいにパリで上海雑技団とフランスのサーカス団のコラボ公演を観に行ったときに、その洗練された照明技術と曲芸パフォーマンスのスケールには声も出ないくらい圧倒された。けれど、私の中にある、サーカスのイメージ、もっとなんというか、観客との距離が縮まった親密な感じはそこにはなく、後半、正直、私は少し寂しい気持ちになった。それに、息子の方は飽きてしまって、早く席を立ちたがった。なんとかフィナーレまで我慢させ、いざ帰るとなったとき、一緒にいた私の母が、「すごかったわね」と感想を一言呟いたのち、私と同じ気持ちだったのか、「でも今度はボリショイサーカスを観に行ったらいいわよ」と、強く勧めてきた。でもボリショイサーカスなんてイマドキじゃない、古臭い、と決めつけていたものだから私は驚いて、「え?楽しいの?」と聞き返した。「え?あなた覚えてないの?動物がたくさん出てきて、なんとも言えないけど、楽しいじゃない!!」と言う。たしかに小さい頃見に行ったけど、それにしてもクマを歩いてるのを見て、楽しいかしら?上海雑技団を超えるだけのパフォーマンスがあえるとは、とうていイメージできないな、とこっそり思った。その時は。

ところが、6月の上旬にたまたま「ボリショイサーカス」の広告を見つけて、ふとその母の一言を思い出し、即座にチケット購入することにした。ついに数日前、絶対シケてるという先入観を抱えて、東京公演に息子と足を運んでみた。でも、息子の横で、お母さんがつまらなそうにしてはいかんでしょ。我が子のため、私は精一杯ワクワクして見せ、かき氷を息子に買い与えて、「楽しみだねー、楽しみだねー」と声をかけ、暗転を待った。

うっすらと白い光がステージにあたり、静かにふたりの男女が空中ブランコの下に立った。と、その途端、ひょい、と女の人の方がフランコに移り、片足で漕いだり、ぶら下がったりしながら、舞始めた。

うわぁ!そう思った瞬間、図らずも、涙がつーっと頬を伝った。なんとまあ、感動的。もう、それからは、登り棒、動物の芸、ジャングラー、ピエロのお笑い劇、ブランコに鉄棒、眼を疑うようなマジックショー、勇壮なジギトのパフォーマンス、そしてフィナーレに至るまでの2時間近く、息子と共に夢中になって、拍手パチパチ、「きゃあ、きゃあ」、「すごーい、すごーい」の大騒ぎ。

たしかに曲芸に関しては、上海雑技団だけでなくイマドキのサーカスに比べれば遥かに地味。にもかかわらず、なぜこんなに楽しく、なぜこんなに心打たれるのだろう?もしかしたら、その少し控えめで不器用な感じが、ロシア文化独特の哀愁感漂う感性で上手く演出されていて、見ている方は無性に親近感が湧き、愛すべき見世物となっているのかもしれない。見終わったあとも、クマのサーカスの演目で、健気にステージの端で踊り続けたマッチ棒のように細い女の人が忘れられない。今もなお、世界中で人気を維持しているロシアサーカス。それには訳があるのだと、思い知らされた。(Anne)

追記:その一方で、サーカスでの動物の利用を懸念する声もあり、禁止している国も多々あるようだ。たしかに、こうしたことも無視できないな、とも思った。

下は、絵本『じぶんでひらく絵本』4冊シリーズ。作者は『ひとまねこざる』で知られるH.A.レイ。折り返しのページをひらくと、シーンごとのビフォア&アフターの驚きを感じる、といったロングセラー。その一冊に『サーカスをみよう』がある。これは私が子供のころ、ボロボロになるまで読んだもの。ボリショイサーカスをみながら、レトロな感じのこの一冊を思い出した。

じぶんでひらく絵本

なにが出てくるかな?

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トラだ!

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誰がボールを受け取るのかな?

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アシカだ!

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