2015/05/25

小さな出来事

このところいい陽気が続いてますねー。夜中に稲妻ピカピカ雷ゴロゴロ雨ザバザバでも、翌日には晴れてくれるなんて、本当に嬉しい。こんな春の日には、ちょっと近所を歩くだけで、コンクリートの割れ目に、スミレやタンポポ、ヒナゲシやドクダミなどの可愛いらしい花が顔を出していて、それを見かけるだけで気持ちがほっこりしませんか?

さらっと頬を撫でる風、カーテン越しの木漏れ日、ふと鼻をかすめる芝生の香り。。。そんな身の回りの小さな出来事に心が揺さぶられるこの頃。

こういう小さなことって、ものすごく幼少の時には敏感だった筈なのに、成長するにつれてあまり目を向けなくなった。その代わりに、もっとスケールの大きい物語だったり、刺激的な映画だったり、エキサイティングな旅行だったり、派手な美食だったり、そんなところに感動を見出すようになっていったと思う。けれど、最近、また、こうした身の回りの小さな出来事に心震わせ、幸せを感じるようになったな、と思うのだ。

改めてそう感じるのは、最近よく読み聞かせている絵本『小さいお家』の最後のくだりに差し掛かる時だ。『いたずら機関車ちゅうちゅう』とか、『働きものの除雪車ケイティー』とかでも知られる、バージニア・リー・バートンの代表作。皆さんきっと、幼少の頃に、おかあさんやおとうさん、おばあさんやおじいさん、もしかすると保育の先生かもしれないし、近所のおばさんだっかもしれない誰かに、読んでもらったことがあるのでは?

田舎に建てられた小さいお家が、いつしか街に住んでみたいと憧れる。時代の移り変わりを経て、ビルや鉄道に囲まれることになり、念願の都市生活が叶ったものの、穏やかで四季を感じる暮らしに戻りたいと悲しむ。田舎暮らしの良さを再確認するまでの言うなれば100年物語。結局、小さいお家は移築されて、もともと建てられた場所と似たような小高い丘の上に落ち着く。そして最後に、小さいお家の気持ちが、こう描かれる。

「ちいさいおうちは もう二どと 

まちへ いきたいとは おもわないでしょう。。。

もう二どと まちに

すみたいなどと おもうことはないでしょう。。。

ちいさいおうちのうえでは ほしが またたき。。。

お月さまも でました。。。

はるです。。。

いなかでは、なにもかもが たいへん しずかでした。」

どうですか?石井桃子女史の訳が素晴らしいせいもあるけど、感動しませんか?

一見、なんてことない内容なのに、もー、とにかく、私はこの最後の1ページを読み聞かせるのに、毎度のことながら、大変、苦労するんですよ。毎回、ほんと、毎回、涙をこらえるのに必死になるから。結果、急に黙り込むワタシ。しばらく沈黙していると、「ねえ、ママ、ママったらぁー、読んで、読んでっ!」と、待ちきれなくて苛立ち気味の息子に、最後の数行をせがまれる始末。

ちいさいお家に共感して、身の回りの小さな出来事に心温まり、感動を覚えることが、再びできるようになったのは、要するに、そうなのだ。私が、そこそこ人並みに春夏秋冬を経てきたからってことだな、うん。などとつぶやくと、私よりもずっとずっと先輩の女性たちから、「なにいってるの、若いくせに」と笑われるかもしれないけど。ともあれ、だから私は年を重ねることが好き。時の流れとともに、年の数が増えることが好き。なぜなら、こうした穏やかな小さな幸せをより一層感じられるようになるから。(Anne)

ちいさいおうち

『ちいさいおうち』/バージニア・リー・バートン文・絵/石井桃子訳/岩波書店

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