2017/07/25

ただひとつのたからもの

こうも暑いと、人に会っても「こんにちは」を抜かして「暑いですね」が挨拶言葉になりますね。

いろいろな物を端折りたくなって、夏は何につけても簡略化するような気がします。

一番いい例が食べ物。冷たいキュウリを擦り下ろして鰹節とお醤油かけて、冷めたご飯にのせて食べるとか、お素麺を茹でて、茗荷を刻んで、つゆにサッと付けて食べるだけのお昼ご飯とか。最近では茹でなくても良い麺もありますね。端折る夏には重宝します。

というわけで、絵本も文字量がぐっと少ないすっきりとしたもので暑さをしのぎたくなりました。と、こじつけてみましたが、シンプルで素敵なお話2冊です。とはいえ文字量をよそに内容の方は、それはそれは深いです。大人でないと理解できないかもしれない程、重厚感あるメッセージです。絵の美しさにもうっとりします。そもそも私は、絵本は芸術作品としても引けを取らない、タッチの美しいものでないと子供の目に触れさせたくないな、と思っています。イイものを見せようと思っても、小さい子供を美術館に引っ張っていくのは難しい。でも家に居ながら、繊細で奥行きのある美意識を養うには絵本が一番手っ取り早いと思います。幼いころに培った感覚は一生残る筈。

さて、まず『たからもの』(ユリ・シュルヴィッツ作/偕成社)です。

これはあの極めて静寂で美しい絵本、『よあけ』の作者です。本作品では絵本界の勲章とも言えるコールデコット賞を受賞しています。夢のおつげに従い、宝物探しに出かけたとある男が、行った先で本当のありかを伝えられ、我が家に戻るといった、まるで『青い鳥』を凝縮したような物語です。

「もりをぬけ」

「やまをこえ」

苦味走る絵のタッチと寡黙なまでの文で広がる世界観が、カッコイイ程素敵です。

旅のあとにこの男は気づきます。幸せはすぐそばにある。回り道は無駄足ではない。それに気づけば、あとは心穏やかに過ごせるというメッセージは、まるで悟りを得るような落ち着きを心に宿してくれる、そんな作品です。子供は、もちろんそのような読解はできませんが、この作品を通じて、どこか不思議な静けさを心に刻んでいてくれれば、それでいいな、と思ってます。

次に『ひとつ』(マーク・ハーシュマン作/バーバラ・ガリソン絵/福音館書店)。

これは、数字の概念を表現した科学系の内容ですが、とてもそうとは思えないノスタルジックなタッチの絵で表現されているのが魅力です。1という数はどういうものなのか。とても小さい数でありながらとても大きな数。そんな1の解釈が面白く、数字嫌いもすんなり数の虜になりそうです。谷川俊太郎さんの訳も素晴らしい。英語でoneのところを、ひとり、いちまい、いっぽん、など、ややこしい日本語の数え方に置き換えても詩的に聞こえます。たとえば、こうです。

「たねは500こあるかもしれない でもかぼちゃは1こ」。

「せんしゅが9にん チームは1つ」。

「まめが7つぶ はいってる 1つのさやに」。

原文はどう表現されてるのかも気になるくらい、なんども読み返したくなります。こうして9、8、7、6、5、、、、とページをめくるごとに数が少なくなりつつ、最後は1つで1つの、スケールの大きなものが登場します。

「でもさいこうの1は ひとりっきゃいないぼく ひとりっきゃいないきみ」。

考え方の違う人、言葉の違う人、見た目の違う人、明白になにかに貢献している人、一見役にたっていなそうな人、頑張っている人、のんびりな人、どの人もみんなひとつしかない大切な存在です。一部の人の存在が無駄だと思われたり、人目を避けて暮らさなければいけない社会はおかしい。様々な人が隣り合わせに暮らして、それぞれが違う「ただひとつのたからもの」という認識を自然に得れる環境づくりが必要ではないでしょうか。

すべて、ただひとつのたからもの。人も、野生動物も、家畜も、番犬も、猫の手もかしてくれないウチの猫も、、、。

(Anne)

2017/07/15

スカンジナビア・デザインが?

写真を撮るのが苦手な私ですが、植物だけはフォトジェニックなので、私が撮ってもなんとか見るに堪える仕上がりになるようです。なので、今日もお花を撮ってアップしてみました。とはいえゴーヤの花ですから地味です。でも、葉や蔓の部分は形が面白い。葉と花の間に変な葉っぱのようなものがあるんですね。こんなデザインの植物だとは知りませんでした。

というわけで、とうとうゴーヤの季節!夏になりましたね!

気温も30度超えになると、私は伊豆の海にひとっ飛びしてきたくなります。けたたましい蝉の鳴き声を背後に、ビーチサイドで波の数を数えながら、ヘミングウェイの『老人と海』を思い出すというのが私の夏に欲しいひととき。今年も実現させたいところですが、それはさておき先日の話の続きです。

『北欧女子オーサが見つけた日本のふしぎ』を読んで、とても印象的だった見開きページがこれです。

オーサの母国スウェーデンは、日本ではどんな印象があるのかというこの見開きページですが、私がとにかく驚いた内容は、まず左から。

スウェーデンといえばIKEAだけど、日本でも家具はやっぱりIKEAで買うのかと質問する友人に対して、オーサの返事は、IKEAに行く目的は家具ではなく食品売り場だと4コマ内で答えます。その横にオーサのコメントがあります。「日本ではスカンジナビア家具は有名だけど、個人的には、、、つまらないよ!」と。え!スカンジナビア・デザインがつまらないですと??

北欧ではどこにでもある平凡なデザイン、ということなのでしょうか。私にしてみれば、人気の家具ということはもとより、子供の頃我が家にあった、アルネ・ヤコブセンやハンス・J・ウェグナーの家具、アラビアの食器、マリメッコのテキスタイルなどのデザインは、単なる「好き」を超えた懐かしさや、親しんできたという安心感もあるので思い入れも深く、まさか「つまらない」と形容されるものとは想像もしてませんでした。では逆にスウェーデンの人にとって素敵なデザインとはどんなものなのでしょうね?日本のものなら例えば鎌倉彫りとか、会津塗りとか、あるいは炬燵とか、そういった伝統工芸品のような物でしょうか、それとも日本のテクノロジーを駆使した電化製品のハイテク・デザインでしょうか。何れにしても、私は、北欧デザインも日本の伝統工芸も、どちらも好きですけれど。

次に、右のページにはこんなことが書かれていました。オーサが説明するスウェーデンの特徴は、男女平等、多文化社会、コーヒーを飲む文化、そして最後に「『ちょうどいい』が認められる国」とあります。なんでもほどほどにが良いそうで、例えば牛乳ひとつにしても脂肪分が中くらいのものが人気だとか、オシャレしすぎるのは白い目で見られるだとか。とにかく「ほどほど」でないものは、厳しく批判されるそうです。これには本当に驚きました。同じ欧州でも、北欧とフランスやイタリアなどのラテンヨーロッパとでは随分と違うものだと。

少なくともフランスでは逆です。まず、オシャレに関しては、ブランドものや高級品を身につけることは評価の対象になりにくいですが、どこまでセンスを研ぎ澄まして、スタイリッシュになるか、というところは大切で、エキセントリックであればまず一目置かれます。それは、すなわち個性があるということ。自分の考えや主張がきちんとあるということの表れで、フランス社会で一番重視されることだと思います。それこそ、「ほどほどな」着こなしや考え、どっちつかずの中立的な立ち位置などをアピールすれば、中途半端で勇気がない人とみなされ、非常にカッコ悪く、嘲笑されるどころか、魅力がないので相手にもされません。人とは違う個々の個性が尊重されるフランスのような文化では、ほどほど、そこそこ、無難なもの、それらはすべて平凡に映り、悪とみなされる、と言っても過言ではないかもしれません。ただ、これ、フランス内でも、家庭や職場など環境によっては多少の温度差があるかもしれませんね。たとえば保守的な環境だと、やはり少しは「ほどほど」を大切にしていると思います。

私が好きなa-haも、おとなりのノルウェーだけあって、確かに尖っていないというか、やりすぎない感じがありますね。若い頃は物足りなく感じたこの特徴も、40も半ば過ぎると心地良い。丁度、締め付けがなく、ゆったりとした服が着たくなってくるのと同じです。

というわけで、『北欧女子オーサがみつけた日本の不思議』、漫画なので構えずに済みますし、色々な発見があるのでよかったら読んでみてくださいね。

(Anne)

2017/06/30

紙媒体がちょうどいい

鬱陶しい季節ですが、この時期の楽しみは紫陽花です。

雨に濡れて生き生きとしている近所の紫陽花。見かけると元気になります。

さて、ふと思うのでが、スマホの存在は偉大ですね。今まで、肌身離さずにいたお財布だって、もはや貴重なのかあやしくなってきました。スマホに比べれば忘れられた存在も同然。機械オンチの私とて、不思議とスマホさえあればという安心感が頭のどこかに潜んでいて、昨日もその安心感にまんまとしてやられてしまいました。(しかも、これ、初めてではありません。)

昨日はというと、小包を送ろうと郵便局へ行きました。カウンターで荷物を測ってもらい、いざ支払おうとしたときです。ふと、バックを覗き込むと携帯しか入っていません!肝心のお財布はどこへやら。郵便局さんは、文字通りの(ー ー;)こんな顔になり、私は赤面。家までひとっ走りしてお財布を取りに帰りました。ほんと、やれやれ、です。

コンビニに行っても、タクシーに乗っても、スーパーに行っても、「上の空」な私ですので、こんなことは困ったことに度々ありますが、みなさんはそんな経験ないですか?

その代わりというのも変ですが、バックには必ず、お財布携帯にもしていないスマホが堂々と入っているのですから、今時の携帯電話の存在って偉大だなあと、改めて感心してしまったわけです。

だいたい、電車の中や病院の待合室は、多くが雑誌や新聞や小説片手に時間潰ししていた昔と比べると、もはや今は片手にスマホという光景ですよね。たまに本を読んでる人がいると、「本当に本が好きなんですね」と親近感が湧きます。もっとも、私が本が好きというのは、読む事が好きという以上に、紙媒体そのもの、あの、紙質とか装丁とかページをめくる感覚とか、チカチカ光ってないので疲れないといった、物質的なところに惹かれてということなのですが。というわけで、例えば病院の待合室のような暇をつぶさなくてはならない場で、私もみんなと同じようにスマホでニュースやメールチェックしたりしますが、やはり紙媒体好きの私。紙媒体がちょうどいい。おつかい現場では「お財布より大事」なスマホも、暇つぶし現場では脇役となるわけです。

そこで最近、私の暇つぶし現場で主役になったのは、こんな書籍です。

左:『ニッポン在住ハーフな私の100のモンダイ』(原作サンドラ・ヘフェリン/メディアファクトリー)。

右:『北欧女子オーサが見つけた日本の不思議』(作オーサ・イェークストロム)。

どちらも漫画で、国際感覚を持ち合わせた欧州系の女子トークが炸裂する、視点がとてもユニークな作品です。前者の原作者は日独ハーフ(もしかして私と同じ年?)で、ハーフならではの自虐ネタに、私も1コマ1コマ共感のオンパレードでした。後者の作者はスウェーデン出身で、アニメオタク。母国でも出版経験もある漫画家です。その自称「北欧女子」から見た日本の様々な魅力や不思議な事柄を、四コマ漫画でチャーミングに描いているのですが、それだけではなくて、読めば日本文化の良さを逆輸入するような、ちょっとした面白ガイドブックなのです。ほかにも、日本旅行記をテーマにしたり、新聞にも連載したり、いろいろなレアな経験をしたり、作者の行動力にも驚かされますよ。

ただこういう読み物は、時々、ブッと吹き出してしまうので、要注意ですね。

というわけで、今日はこれにて。(この、『北欧女子オーサが見つけた日本の不思議』で、まさに目から鱗が落ちたワンシーンがあったので、それはまた後日お話ししますね。)

Anne

2017/06/16

こんな活動をしています

私の絵本好きが高じて、最近では地域の読み聞かせ活動も積極的にしています。

絵本好きと言って、それがどのほどかというと、こうです。就学前の0歳から6歳までの間に、息子に読んで聞かせた本の数(絵本・童話・児童文学)はおよそ800冊。一冊にいくつものお話が入っている本もあるので、物語の数でいうと1000は超えています。小さいうちは同じ物語を何度も読んでもらいたがるので、冊数は控えめでしたが、就学前の6歳ごろになると、突然一度読んだ本には目もくれなくなり、次々に新しい物語を欲するようになりました。そして小学校に上がった最初の1年で350冊(は優にあると思います)。もちろん量こそが大事だとは少しも思っていませんが、絵本が好きで自ずとそういう結果になった、ということです。ついでに息子も今では読書好き。

それで、さらに家の中だけでは飽き足りなくなり、地域のお話団体に入れてもらうことになりました。こうして子供達のために、せっせと選書して読んで歩いて回ることになったというわけなのです。

絵本の読み聞かせというのは、もちろん誰でもできると思いますが、お家で我が子に読むのと、子供達を集めたお話会ではだいぶ違い、後者の場合はある程度のコツが必要だそうです。読み手向けの講習会や実習勉強会などがあるので、ベテランの講師に教わりつつ、私もその「技」を少しずつですが身につけていっています。ここ最近、ようやく少し慣れてきたな、と感じているところです。

目下、活動の場は3箇所。

私が読み聞かせやお話会で楽しみにしている一つには、絵本選びがあります。図書館だと小さい子が多いので、わかりやすくて見やすい本、地域の小学校に出向くときには、シンプルでありながら少し内容が深い本。遠目に映える絵、だとか、季節を意識したテーマ、だとかの気配りも必要で、あれこれ考えながら選ぶのは本当にわくわくします。

そんな感じで活動を楽しんでいるわけですが、先日仲間の一人が小学生でも高学年になってくると選書に困ると悩んでいました。確かに、ほんの10分~15分の間に1~2冊となると、長い話では読みきれないし、そもそも集団で聞く場合は、いろいろな子供がいるので、集中力も散漫になりやすいことから、年齢より少しばかり易しい内容のものを選ばなくてはいけません。でも高学年となるとそれ相応の、聞き応えのある内容でないと白けてしまうと。なるほど、それには私も頷きました。

そこで、中学年から高学年を意識してみた結果、こんな素敵な絵本に出会ったというわけです。

(上の写真は、左上から時計回りに、『ぼくのだいすきなケニアの村』(BL出版)、『アローハンと羊』(こぐま社)、『うみのむこうは』(絵本館)、『少年の木』(岩崎書店)。)

中~高学年には、歴史や国際的な感覚に触れるような内容も必要かなと。

『ぼくのだいすきなケニアの村』これは一見、低学年向けのような気もしますが、大人もヘエと思うケニア発見があって面白いです。

たとえば、ケニアといえば草原というイメージがありましたが、それを払拭してくれるような商店なども登場します。(村があるのだから当然といえば当然ですが。)虫を捕まえてそのまま食べるシーンは、心地よい衝撃を受けます。絵もケニアの人々がすぐ隣にいるような感覚を覚え躍動感があり、温かみに溢れた親しみやすいタッチです。

ケニアは、「遠いどこか」、「知らない人々がいるところ」、ではなく、自分たちと同じ、でもちょっと違うところもある楽しいところ、という感覚が得られるのではないでしょうか。私は思いの外、気に入りました。

『アローハンと羊』。テレンス・マリック監督の映画を思い出すような絵本。壮大な自然と澄んだ空気を映し出す、流れるような美しいモンゴルの情景詩です。淡々とした物語でありながら、自然を愛でる心、命を大切にする心が膨らみそうです。絵は古典的な水墨画で地味ですが、私はこういう子供に媚びない、優れた絵の絵本が好きですね。

次に『うみのむこうは』ですが、これはお馴染み五味太郎さんの作品で、相変わらず色彩がきれいです。これはさすがに低学年向けですが、海の向こうへの思いを膨らます作品で、想像力がグンと広がりそうです。シンプルで見やすいのでお話会にはもってこいですね。

最後に、これまた私が気に入った作品です。『少年の木』ですが、舞台がおそらく中東。

戦いで瓦礫だらけになった地に、少年は小さな葡萄の芽を発見します。まるで希望の光を灯すように、一生懸命育てていると、葡萄の蔓はやがて大きな木陰をつくり、そこには小鳥が集まり、子供たちが集まり、小さな楽園となります。

ところがあるとき兵士がやってきて、蔓を根こそぎ取ってしまい、小さな楽園は消えてしまいます。少年は悲しみますが、生命はすばらしいもの。少年が育てた葡萄は、散った種から、残った根から、少しづつ芽が出てきて、やがてーー。平和への願いが込められた、高学年でも読み応えのある作品でした。

それにしても、数え切れないくらい素晴らしい絵本があって、正直、紹介しきれないのが悔しいところです。

Anne

2017/05/29

最近の大ヒット絵本3冊

今日、ご紹介したいのは、『りんごかもしれない』(ブロンズ新社)、『とてもすてきなわたしの学校』(童話館出版)、『ロベルトのてがみ』(好学社)の3冊。

いずれもウチの子(小2)の、最近の大ヒット絵本です。

『りんごかもしれない』は作者ヨシタケシンスケのデビュー作にして、MOE絵本屋さん大賞をはじめ数々の絵本大賞を受賞したにふさわしい、老若男女問わず好まれそうな、傑作です。主人公の男の子が学校から帰ってくると、ダイニングテーブルの上に赤いりんごがポンと置いてある、という極めて平凡な生活のワンシーンから始まります。だけど男の子はそこで、ひょっとしたら「りんごじゃないかもしれない」という考えが浮かびます。そこからが、想像の大旅行。「りんごではない」可能性の奇想天外な物語が繰り広げられ、そのナンセンス、ありえなさに、笑い転げてしまいますが、そもそも、こういう思いもよらない発想こそが、発明や発見につながるわけですよね。まずは今、目に見えているものや、当たり前と決めつけていることを疑ってみようよ、とも取れるメッセージには、言葉にならないほど共感しました。結局、主人公がダイニングテーブルで見たものは、「りんご」だったようですけどね。

次に『とてもすてきなわたしの学校』ですが、これも奇想天外な発想のオンパレードで子供もゲラゲラ笑ってしまいます。どんなことを学校で教わるべきか、という作者ドクター・スースらしいユニークな見解が、私たちが持ってるいろいろな固定観念やしがらみ、窮屈さ、などから解放してくれて、頭がどんどん柔らかくなるような作品です。そもそも、映画『グリンチ』(ジム・キャリー主演)の原作者ですからね、かなりのブッ飛び様なのはお分かりかと思います。

このドクター・スースが「推進する」学校は、『なんでもスクール』というところで、自由でおおらか、ネーミング通り、なんでもOKというところです。先生方から教わることといえば、大声でわめくことや、小鳩にどうやって胡椒をかけるかということや、空を飛びたいカバがなぜ飛べないか、などなど。子供達はこの学校が大好きです。ところがある日、学力テストを受けないといけないことになります。子供達の成績が良くないと「なんでもスクール」は壊され、陰気で牢屋のような「従順スクール」に送り込まれてしまうかも、という危機にさらされます。さて、どうなるでしょうか?なんでもスクールの子供達の学力はどうだったと思いますか?

そして最後の一冊です。『ロベルトのてがみ』。あの、控えめな絵と可愛らしい物語で有名な『もりのなか』や『わたしとあそんで』の作者、マリー・ポール・エッツの、小学生向けの作品です。絵はより一層地味で、そのせいか、ずっとウチの子に避けられて本棚で眠っていたのを、めげもせず私はまた引っ張り出してきて、「これ読もう」ともう一度誘ってみました。10数回目にして、やっとOKされましたが、これがなんと時を待っていたと思えるぐらい、タイムリーだったんです。

メキシコからアメリカに移住してきた一家には、ロベルトという小さな男の子がいました。兄弟に遅れてまだ英語ができず、いろいろな思いが伝わらないため、いつも叱られるようなことばかりしています。でも、少しずつ周囲の理解と協力によって、英語を自分のものにしていき、大切な人に大切な思いを伝える手紙まで書けるようになるといった、ロベルトの成長物語です。どうやら、ウチの子は、最近めっきり叱られなくなったことや、英語を学び始めたことなど、自分と上手い具合に重なったらしく、読み終えるととても満ち足りた様子でした。それと、作者自身が、絵本作家という以前に、社会福祉事業の専門家だということを初めて知りました。本作品は、サンフランシスコで貧困地区の援助活動をしていた経験が大きく反映しているようで、登場人物の背景や気持ちの描写がとてもリアルで繊細です。わたしはこういう「社会派」というような絵本もとても好きですね。視野が広がることは心の豊かさにつながります。それは他人に対してより寛大になれて、自分の心も平和になりますよね。ただし、作品のメッセージが偽善でなければ、の話ですが。

(Anne)

2017/05/18

せっそんです

21日までなので急ぎでアップします。

『「ゆきむら」ではなく、「せっそん」です』というコピー。これは水墨画の雪舟のほんの少し後の時代に生きた画家で、雪村と書いて「せっそん」と読む人の作品展の告知に使われているものです。東京芸術大学大学美術館、要は芸大の中にある美術館にて、5月21日まで開催していますが、とても面白い展覧会でした。

http://sesson2017.jp/index.html

そもそも、目下歴史ブームのウチの子が、とある日、雪舟の人物像を語ってくれたことがありましたが、丁度その翌日かの新聞にこの雪村展が紹介されていて、雪舟じゃなくて雪村?と思ったのがきっかけです。なので雪村展に興味を示すかと思って誘ってみると、嫌だと。雪舟自身には興味あるし、浮世絵ファンなので絵は嫌いじゃない筈なのに、水墨画にはどうやら興味がないらしい。それでも、ウチの子を引きずって鑑賞に付き合ってもらいました。ちなみに、本人は、今たまたま歴史が好きなだけで、本当に好きなのは生物だと断言しています。

さてこの雪村展、じつにユーモア満載の楽しい展覧会でした。且つ無茶なポーズと豪快さも面白い作品ばかりで、時代を先取りしたようなモダンな画風に驚かされます。

初期の頃の、強風を描いた風景画がありますが、絵そのものがガクンと左のほうに倒れてしまいそうな感覚を覚える力強さ。

それから生き物シリーズも、猿や蟷螂などの表情は、漫画みたいに愉快で愛嬌があります。

また、龍を描かせれば、いきなりグワッと天に昇っていきそうな恐ろしいようなカッコイイような勢いを感じますし、布袋に関しては、即福が来そう、というくらい良い表情をしています。

解説も分かりやすく、雪村の世界に引き込んでくれます。

21日までなのでもうあまり日はないですが、滋賀のMIHO MUSEUMで8月1日~9月3日の期間開催されるそうですので、逃した方はこちらへ。

http://sesson2017.jp/outline.html

というわけでお知らせまで。

(私は忘れないように新聞の切り抜きを手帳に貼りました。)

(Anne)

2017/05/12

a-ha、ふたたび

とうとう買ってしまいました。

 

いまさらですが、2015年にリリースされたa-haのニューアルバム『CAST IN STEEL』です。2年間限定でのグループ再結成とのことですが、それを知ったのはつい最近、GWなのですもの。

本当は、私はといえば、音楽はほぼオールジャンル聴きます。でも正直、近年は以前ほどじっくり聴く時間がなく、たまにあったとしてもクラシックばかりに偏っていた気がします。しかもほとんどピアノ演奏曲。もっと言うと、もっぱら、イーヴォ・ポゴレリチかフジコ・ヘミングのショパン。たまにグレーン・グールドのバッハ。オールジャンルを聴いていたというのが嘘なくらい選曲がタイトになっていました。

ところがこのGW、思いがけずイーヴォ・フジコ・グレーンの三角地帯から脱出することになりました。高速渋滞さえなければこんなことにはならなかったわけですけどね。

GW初日、山荘めざして早朝出発しましたが、すでに下りの高速は渋滞でした。山荘までのたかだか160キロの距離を8時間もかけて到着したほどですもの。これにはウチの坊主が車内でいつ発狂するかヒヤヒヤしましたが、幸い歴史ブーム只中。後部座席で黙々と読書と、車酔いもおこさずに静かにしてくれたので助かりました。子供がおとなしくしてるので、大人の方は退屈しのぎに、昔を思い出して思う存分ナツメロ大会をしたわけです。YOUTUBEをナビに、80年代のユーロビートへ突入すると、話題は、あの、『Take On Me』の世界的なヒットで有名になったグループ、a-ha一色になりました。

a-ha、覚えてますか?

日本ではどうやら、一発屋、イケメンアイドルグループというイメージがあるようですが、当時私が暮らしていたパリほか、ヨーロッパでは、『Take On Me』以降も数年~10数年は絶大な人気があり、今も根強いファンが多いくらいなんです。南米でもライブ動員数でギネスブックに載る程です。さらに、U2やコールドプレイなど相当なビックアーティストからもリスペクトされているそうで、ルックスの良さに翻弄されずにじっくり彼らの音楽性に聴き入れば、相当深みのある3人組だと感じると思います。少なくとも私は、改めてそう思いました。ただ、彼らがスターらしい「ちょいワル」風もふかさなければ、社会派のアングリーっぽさもなく、かといって極めてオシャレというわけでもないので、そのどこにも属さないクリーンな感じが当時の私には物足りなかったのか、特にハマッた記憶はありません。ところが、今こうして過去の作品を聴いてみると、彼らの存在そのものや音の、「不思議な気品」(と誰かが書いていましたが、まさに!)と透明感に驚かされます。モートンの骨太な低音からファルセットまで歌いこなすヴォーカルは、まぎれもなく天才的ですし、詞の方も、解読が難しいですが、分かるとポールは天才詩人かと思うくらい深いです。ギターを弾くポールの控えめな佇まいも美しい。ちなみにキーボードのマグネは、モートンのようなロマンチストでもポールのような芸術肌でもなく、愉快で一番現実的?地に足のついた人というイメージです。年齢を重ねるほど、かっこよくなっていると思うのは私だけでしょうか?

というわけで、a-ha漬けになったついでに、2010年に解散したのち、2015年に2年限定で再結成されたa-haのニューアルバムを買ってみた、というわけなのです。

さて、この『CAST IN STEEL』ですが、どういう意味?と思いませんか?こちらにヒントが載っています。↓

http://ameblo.jp/boomooo/entry-12067302501.html

石のように冷え切ったぼくらの心に、熱い鋼鉄を流し込んで情熱を取り戻そうよっていう感じのようです。この歌はグループの再生を歌ったものなのでしょうね。詞の重厚感。それに反比例するようなメロディーのしなやかさ。そしてどこまでも伸びるモートンの美声。とことん歌で聴かせる80年代のいいところをキープしつつ、酸いも甘いも噛み分けた後の、大人らしいアルバムに仕上がっていると思いました。今すぐノルウェーにいきたいぐらい、、、。

(Anne)

動画リンク:

『CAST IN STEEL』

そして懐かしの『Take On Me』

 

 

2017/04/23

つかのまの、春の楽しみ

親戚の家でお花見会をしたときのことです。

クリスマスローズは、冬を名残惜しむかのように壁に飾ってありました。

お花見と勇んだものの、残念ながら、お庭の桜はまだ開花しておらず、食べる方の桜で満足しました。

結果としての、花より団子。桜餅に道明寺にヨモギの草餅。道明寺というのは、桜餅の関西風の呼び名だそうですが、作り方は随分違いますよね。三人ぐらいの持ち寄りでこうなりましたが、こうしてみると、和菓子屋さんによって、大きさ形さまざまですね。でも、頬張る前に、皆そろって和菓子の中の桜の美しさを、ちゃんと愛でましたよ。

メニューの方も春一色。蕗、蕗の薹、あさり、そら豆、分葱、うど、若布、アスパラガス、筍などの和え物や揚げ物が並びました。今の時代、年間を通して、夏野菜や冬野菜がスーパーに並ぶので、季節をあまり意識しなくても食べ損ねることはないですね。でも、春だけは別。春の旬野菜は、野菜コーナーに並んだかと思ったら、瞬く間に姿がなくなり、時期を逃してしまうことが多くないですか?傷みやすいからでしょうか。蕗や筍は下ごしらえが面倒だからとまごついてると、食べ損なってしまいますし、せめてうどぐらい、と思っても、ウチでは私しか食べないしなぁと、悩んでいる間に逃してしまったり。それに、香りや苦みやクセを楽しむこのころの野菜は、家のなかでも好き嫌いが分かれやすいものだと思います。なのでこうした集まりがあると、作りがいを感じて従姉妹が腕をふるうのでした。

さて、桜の方は翌週、いきなりバッと咲いて、咲いたと思ったら、数日後から雨続き。あっと言う間に路面が花びらだらけになってしまいました。

春の楽しみは本当につかのま。悲しいような気もしますが、一方で、想像してみてください。ソメイヨシノ並木が、一瞬ではなく、常に満開だったら。ありがたみがないどころか、少し鬱陶しいかもしれませんよ。あっという間に散って、葉桜で満開時の余韻を楽しみ、あれよと言う間に青々としてくれ、毛虫でいっぱいになる。秋には赤や黄色に染まるソメイヨシノの、万華鏡のような変化だからこそ季節の楽しみをもらっている気がします。

「さまざまの事おもひ出す桜かな」松尾芭蕉。

色々な事を思い出させてくれる古里の桜を詠ったものです。

この新書に載っています。講談社の『芭蕉さん』(俳句:松尾芭蕉、絵:丸山誠司、解説:長谷川櫂)という絵本です。子供も大人も、無知熟知を問わず、元気いっぱいの絵と親しみやすい解説に、俳句再発見の面白さがあります。

あわせて春の絵本3冊です。

左から。『根っこのこどもたち目をさます』(童話館出版)。訳が石井桃子女史なので、流れるような読みやすい日本語です。絵は、ジビレ・フォン・オルファース。ミュシャの絵を思い出すような構図で、繊細なタッチが美しい。はるの訪れを、妖精に演出させてるシンプルなファンタジーです。読んで聞かせるなら年中さんぐらいからでしょうか。

次に『マウス一家のふしぎなさんぽ』(童話館出版)。女の子がきっと好きになるだろうという一冊です。おかあさんねずみとの約束で、こどもたちは森にベリーやお花や葉っぱを集めにいく様子が可愛らしい。簡単な図鑑のようなページもありながら、読み終えたころにはすっかりおままごとがしたくなるような想像力お掻き立てられるお話です。

最後に『せかいいちうつくしいぼくの村』(ポプラ社)。一面の桜の木で始まります。アフガニスタンにある、のどかな田舎の村のお話で、私のイチオシです。アフガニスタンは、もともと豊かな森や草原があり、春になればたくさんの花が咲き乱れ、初夏にはさくらんぼやすももが実る、豊かさ溢れる国だったそうです。少年の一日を淡々と追う物語ですが、その、素朴でで平和で、自然が豊かな暮らし振りが存分に描かれています。市場での一日を過ごした少年は村に戻り、新しく家族になった子羊に「春」と名付けます。翌年の春を待ちわびながら。しかし、ネタバレですみません。春はもうやってこないのです。これは小学生から大人向けです。

というわけで4月の更新が遅くなってしまいましたね。次回、がんばります!

(Anne)

2017/03/31

白馬の男料理

春スキーをしに、白馬に行ってきました。友人の素敵な山荘に招かれて。私にとっては理想的なバケーション!

お天気に恵まれて、ゲレンデは広々、コースも長くて気持ちが良かったです。

山荘の窓の外も雪景色。

暖炉に火を焼べて、部屋のなかはポカポカしています。

さて、この暖炉、部屋を暖めるだけでなく、調理場にもなるんです。

招いてくれてた友人は、仕事もバリバリ、スポーツもバリバリ、おまけにイクメン。奥さんに代わって、メチャクチャ美味しいお料理を周囲に振舞ってくれる、スーパーマンです。私とウチの子は、3泊4日、ワイルドでオツな男料理を堪能させてもらいました。主人も来れたらどんなに喜んだだろうと想像しながら。

ご紹介します。ある晩は、こんな感じ。

暖炉でTボーンステーキをガツンと焼いて、それからオーブンでじわっと中まで暖めます。

サイドディッシュには4束分の菜の花。茹でて、そのままお皿にドン!豪快です!テーブルには、様々な調味料が並び、それぞれ好みの味付けにする。子供達はマヨネーズ。

じゃがいものガレットも作ってくれました。キッチンのガス台は、プロ仕様のものが設置されていて、焼き加減も最高です。最後にやっぱりオーブンにいれてチーズを溶かしていましたね。ちなみに、この友人、飲食でもなく、クリエイティブ系でもなく、全く関係のない職業をしているんです。

またある晩はこんな風です。

清潔にしてピカピカのシンクに粉を散らします。

子供達も寄ってきて、お手伝いしたくてウズウズしています。

ポン、とピザ用の生地が置かれました。

それから伸ばして、トッピングして、、、。

オーブンで焼きあがったら、杉の木材の上にドーン!

もちろんピザソースもお手製です。プロ仕様のガス台で煮詰めていました。

あと、サラダ。私もお手伝いせねばと、これは私が作りました。プチトマトの小皿は子供達用です。

あと、おまけ。

牛肉100パーセントのハンバーグ。みじん切りの玉ねぎやにんにく、人参などと一緒に捏ねて、暖炉でジュウジュウと焼いてからオーブンへ。そしてお皿に、ボン!

ダイナミックで美味しい男料理でしたよ。ほんと、感謝です。

(Anne)

 

 

 

 

 

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